以下、ネタバレ含みます

前回日記を書いてからも考えていたのですが、

「2人が本当に兄妹なのに親たちが嘘をついた」という設定は
一般的な物語ならともかく、
ジブリ映画では採用しないだろうと思いました。


劇中でお互いに相手を好きであることが判明するので、
2人が兄妹ではないという結論に至ったからには、
エンディング後に交際を始めることは想像に難くありません。


(1)2人が本当に兄妹ではない場合

この場合、2人の交際自体に障害はありません。

障害となりうるものは「戸籍上の兄妹である」ということです。
実際に血がつながっていなくとも戸籍上は兄妹である2人の交際が、
どれだけタブー視されることなのかが問題となります。

周囲の大人においては今回のエピソードの中では2人の仲を問題視する様子はありませんでした。

ただ、仮に恋愛が長続きして同棲や結婚となった場合には態度が変わってくる可能性はあります。


また、将来の結婚を考えた場合、
戸籍上の兄妹であることで婚姻できないということが障害になります。

風間家の養子となっても風間俊と澤村雄一郎の実親子関係は存続するので、
このままでは松崎海と風間俊は結婚できません。

コクリコ坂からFrom Up on Poppy Hillというサイトにわかりやすい人物相関図が載っていました。
http://www.asahi-net.or.jp/~hn7y-mur/kokuriko/link08.htm

アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常
というサイトに法的なところが詳しく解説されていました。
http://d.hatena.ne.jp/ronnor/20110820/1313832156

親子関係不存在確認の訴えを起こすことができる。
(中略)
メルとの結婚のためであれば、戸籍訂正の必要性(訴えの利益)は認められる。後は、実親子関係がないこと、つまり、立花洋の子であることを立証する。今ならDNA鑑定、当時なら小野寺船長や 松崎良子ママの証言によるのだろう。


で、見事解決です。


(2)2人が本当は兄弟であった場合

この場合は親たちが嘘をつくことで2人にインセスト・タブーを犯させる可能性が生じることになります。


その場は丸く収まると思いますが、
若く健全な男女の交際が続いた場合、
プラトニックな関係のみにとどまるとは考えられません。

遅かれ早かれ肉体関係を持つでしょう。

そして、結果として本人たちは意識せずにインセスト・タブーを犯すことになるのです。


松崎海の母親は帰国したばかりであり、2人に恋愛感情があることは知らないと思います。

よって、2人が兄弟でないと嘘をつくことにより2人が交際を始める可能性まで思いいたらなくても仕方がないと思います。

したがって、劇中には明示されていませんが2人が兄弟であることを隠さなくてはいけない理由があれば、
嘘をつく可能性はありえます。


しかし、ジブリ映画は商業作品であることを忘れてはなりません。

宮崎親子が「2人は本当は兄妹」という設定をしてそれをほのめかす演出をしたと仮定します。

登場人物である松崎海と風間俊はそんな演出に気づく由もありませんが、
スクリーン越しに観ている観客はほのめかされた演出から「2人は本当は兄妹」という設定を推測することができます。


ジブリ作品はどれも子供に安心して見せられる作品であり見せたい作品ですが、
その中で突然「本当は兄妹なのに血がつながっていないという嘘を信じた若い2人が交際を始めることが想像できる」話が出てきたら、どうでしょうか。

映画館で観た観客が「こいつらいずれ近親相姦だよ」と考えるかもしれません。

昼メロであれば近親相姦に悩み苦しむ展開もスパイスになりますが、
ジブリ映画ではそんな展開は見たくありません。


近親相姦の展開を想像させる作品を子供に見せるには不適当と判断して購入を控える可能性が出てくるのではないでしょうか。

そんなことをしたらDVDやBDの売り上げに響きますし、ジブリというブランドのイメージも損なわれます。

以上を考えると宮崎親子は、近親相姦という展開を想像しうる「2人は本当は兄妹だけど母親が嘘をついた」という設定はしないのではないでしょうか。

物語的にも「実の兄妹だと告白されたからと、好きという思いを伏せていなければいけなかったけど、本当は兄妹ではないと分かって問題が解決した」というほうがすっきりしますし。


もちろん、宮崎親子が交際を始めた後のことなんか考えもせず、
「2人は本当は兄妹だけど、
お母さんが機転を利かせて嘘をついたことで全てが丸く収まりました。
2人は無事交際を始めることができそうですね。
めでたしめでたし」
というだけの話を作った可能性はあります。


実際、ネットで探した限りでは「2人は本当は兄妹で大人たちが嘘をついている」説を唱えているところは散見されますが、その中で将来の近親相姦の可能性を指摘している記載は見られませんでした。

原作では「近親相姦」と攻撃される展開があるようですが。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1052083150


「コクリコ坂+本当は兄妹=近親相姦」という図式はどうやら世界中で私だけの完全な妄想のようです。


やはり、ジブリ映画を観る人は、
「兄妹かもしれないとかいろいろあったけどそうじゃないと分かってよかった、お幸せに」派か、
「相思相愛なのに兄妹というだけであきらめなくてはいけないなんてかわいそう、二人は最後には結ばれる運命なんだよね、お母さん素敵なフォローありがとう」派であって、
私みたいに「何?ジブリで近親相姦!?マジやべぇ」ってのはよっぽど病んでいるのでしょう。


BD購入特典でついてきた恋愛成就のお守りも、
松崎海が『血がつながっていても好き』と言った辺りで
「インセスト・タブー上等!ってこと?」って思ってました。

兄妹萌え設定のマンガに毒されていますね。

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